1月10日についに「Dリーグ」が開幕しました。
実際に観戦した方はどれほどいたのでしょうか?
実は、ダンスは競技人口600万人もいて、日本は世界トップクラスなのをご存知でしたか?
すごいですよね!
世界でも優勝しているダンサー達が集まってパフォーマンスし合うDリーグは、今後新たな風を吹かしてくれるのではないかと期待しております。
もしかしたら、世界的にレベルが高いのにもかかわらず対価が低く設定されているこの現状をダンサーを主役にしたDリーグが価値を高めてくれるかもしれません。
また、メディアに多く取り上げられることでダンサーの認知やダンス文化の認知が上がることで、ダンスを知らない層にもダンスを知ってもらう機会を増やすことができるかもしれません。
そんな可能性のあるDリーグをもっと身近にするにはどうしたらいいのか。
今後どんなことを期待しているのか。をダンス経験者(実際にアーティストにダンス指導をしている方)の視点とダンス未経験者の視点から見た感想・意見を述べながらお話したいと思います。
※述べているものはいち観戦者の感想/意見です。これが全てではありませんのでご理解のうえお読みください。
Dリーグとは
「第一生命 D.LEAGUE(ディーリーグ)」は日本発のプロダンスリーグ。
「D.LEAGUE」に所属する9チームが順番にパフォーマンスを披露し、世界的に活躍するパフォーマー4名(ダンサー審査員2名、文化人審査員2名)による審査の合計得点(各20点×4名=80点)と、アプリ会員による視聴者投票「オーディエンスジャッジ」の合計得点(20点)で順位が決定する仕組みとなっています。
【MISSION】
世界中すべての人に、「ダンスがある人生」をもたらす。
【VISION】
ダンスの見方・見せ方のNEW STANDARDをつくる。
シーズンの流れは1年間のうちに、REGULAR SEASON・CHAMPION SHIP・AWARD・SPECIAL CUPによって構成されています。
REGULAR SEASON:
全12ROUND。各ROUNDはジャッジ得点で順位が決定し、それに応じてポイントが入る。
CHAMPION SHIP:
REGULAR SEASONの全12ROUNDの合計ポイント上位4チームで行うトーナメント。
AWARD:
SEASONでの活躍で優れた選手を表彰。受賞者パフォーマンスや振り返り。
SPECIAL CUP:
ファンに感謝を届けるファン感謝祭。
このような流れで行なっていきます。
またチームとダンサーにも決まりがあります。
チームはREGULAR DANCER・SP DANCER・DIRECTORによって構成されています。
REGULAR DANCER:
シーズン通して出演するダンサー(シーズン中の変更はなし)
SP DANCER:
期間限定で出演するダンサー(特別にチームに招くダンサーで候補は1人ではない)
DIRECTOR:
チームの監督的なポジションを担う人(チームに1人。上記の2つに入る場合もあり)
当日のパフォーマンスは上記から毎回8名を選出し試合に出演します。
※D.LEAGUE HPより参照
ダンス未経験者から見たDリーグ
私はダンスは未経験(1度ブレイクダンスの体験はしました)です。
ダンスに触れる機会といえば、好きなアーティストが踊るまたは後ろでパフォーマンスしている人達を見たり、ミュージカル映画を通してダンスを知るというぐらいです。
こういう人達も少なくはないと思います。
そんな立場の人間が観たDリーグはどうだったのでしょうか。
①とにかくかっこいい+新しいものを築くという思いが強い
Dリーグを観て最初の感想は「かっこいい!」です。
Dリーグの世界観はまさにコンサートのように、光の演出とDJとのコラボでダンサーが引き立つように魅せてますし、説明動画やMCの伝え方も含め、ダンス特有のクールさを存分に味わうことができる雰囲気です。
もちろん各ダンサーの方達は大会で優勝経験のある人ばかりなので、上手なのは当たり前。そして、各々の技術やストーリーをダンスで表現する姿は本当にかっこいいです。
またダンスと言っても、様々なジャンルがあることをご存知ですか?
HIPHOPやジャズ・ロック・フリースタイルなど数多くのスタイルがあります。
各チームで様々なジャンルが集まっているチームもあれば、同じスタイルが集まっているチームもあり、その違いでチームによる世界観が変わります。これは素人からみても「なんかさっきのチームと違う」と感じるので、各チームの色の違いを楽しめるのも面白いなと思ったポイントです。
そして、他のプロスポーツとは違って、オーディエンスジャッジが入ることが新鮮でした。
他のスポーツでは選手たちが点を競い合っているのを観て応援しているだけですが、競い合っている点数に観戦者も影響するという状況は他スポーツとは違う楽しみ方や熱量の入り方が起きるのではと感じました。
自分の好きなダンスはこれ!
このチームを応援したい!
そんな想いを作り出すことができるので、よりダンスへの興味を広げるかつ深くできるかもしれないという期待もあります。
この取り組みに関して私はDリーグがVISIONにも掲げている”NEW STANDARD”への強い想いを感じました。
②どこか身内感を感じてしまう
開幕当日、各チーム・各ダンサーたちが全力でパフォーマンスをしていて純粋に「かっこいい」と思いましたが、感想としてそれしか言えませんでした。
なぜなら、「なぜその点数なのか」「どの技術がすごいのか」が全くわからなかったからです。
かっこいいとは思う。でも自分のかっこいい=高得点ではないのです。
ですのでどうしても『なぜ?』という疑問が拭えずに置いてけぼり感を感じてしまいました。
また、Dリーグの背景やチームメンバーの背景がわからないがために、会場にいるダンサー達とその関係者が盛り上がっている状態という雰囲気を感じてしまう瞬間もありました。
実は本来ならもっと早くDリーグが開催される予定だったのですがコロナの影響で先延ばし。当時いつパフォーマンスができるのかというゴールが見えない中、毎日のように練習をしてきた日々があったらしいのです。
この背景があったため、ダンサーみんなが泣くほどこの会場でダンスできたことに喜びを感じていたんだと後から知りました。
ダンサー達はどんな思いを抱いてこのDリーグに参戦しているのか。
どんな練習をしているのか。
オーディエンスジャッジで観戦者を巻き込むのであれば、そういった背景(=裏側)を知る機会があると興味持つ人は増えるのではないかと感じました。
ダンス経験者から見たDリーグ
では、実際にダンスを長年やっている方はDリーグをどのように観ていたのか。
『ジャンルの違うものの点数化の難しさを感じた』
今回9チームのダンスチームがいますがジャンルが様々。それぞれのダンススタイルに文化がありそれぞれの魅力があるため、それをフラットにして点数化し順位を決めること自体が難しいことをしているのでは?
ダンスの技術を知らない未経験者からすると点数化の難しさを感じること自体が難しい。知らないから「かっこよかった」という感想にしかならなかったり、「なぜこの点数なのか」を理解できなかったりするのかもしれません。
今回のDリーグを通してダンスを広げていきたいのであればどんなダンススタイルがあって、そこにどんな文化があるのかを簡単にでも学べる場があるといいですね。
『もっと個人独自の意見を述べたらいいのではないか』
点数が世界的に有名な選ばれた4名のジャッチとオーディエンスジャッチの2つが存在するが、結局は好みになる。それならば、なぜ審査員は〇〇点をあげるほど好きなのか。どのポイントをより見ていたのかを個人の主観よりで具体的なものの方が説得力がある。
審査員はこんなところを見ているのか!というポイントを知れるだけでも面白いと思えるうえに、次のダンスやラウンドでの見方も変わるので純粋に学びにもなりますね。
(ちなみに2ラウンド目の審査員の感想は比較的個人の好みや見るポイントに注力した感想が多かったですね)
知っているからこそ意外と厳しい意見がありましたが、より全体的に練習風景やダンスの背景を具体化して見せるともっと面白くなると、Dリーグの可能性に期待を抱いていました。
ダンス経験者の視点はこんなにも違う!!
1つのダンスチームを例に、Dリーグのダンスの見方を教えていただきました。次回からDリーグを観る時の参考にしてみてください。
開幕ROUND.1の『SEPTENI RAPTURES』のダンスを参考に解説!!
ダンスのストーリーに注目!!
テーマは「Be The One」
すなわち、「ひとつになろう」という意味が込められたダンス。
①ダンス前のチームの自己紹介パート。そこではシンプルで基本の動きを中心に踊っている。
飛び道具は使わずに基本の上手さで勝負をしにきてる。(ストリートダンスが盛り上がった80年代にできた基本の動き)
私たちの実力をこれで評価してください!という自信と手を加えない真面目さが感じとれる。
②全員外を向いていて、いきなりソロで各自踊る。すごく自由に動きまくっている。(YouTube 1:23)
もともと出生も違ううえにやってきた踊りも活躍してきた場所も違うメンバーが集まっているため、各自やってきたダンスをそれぞれ踊ることでバラバラさを表現している。どこを見ていいかわからない状態にあえてしている。
③リーダーがソロで踊る
リーダーが中心でソロダンスしている=リーダーがこのチームをまとめようとしているという意味が込められている(YouTube 1:37)
④最後に1つになってダンスする(YouTube 2:41)
バラバラメンバーが1つになり全員同じ振りでダンスしている。それを象徴しているポイントが②で述べた最初の並びで揃ったダンスをしている。(②の伏線をここで回収している)
⑤最後は肩を組んで1つの輪になって終わる
バラバラだったダンサー達が1つになったことを表している。
(ちなみにROUND.2のダンスはこの輪になった形からスタートしている。)
音楽と衣装に存在する意味
①ひとつになるという歌詞の音楽
テーマの「Be The One」に合わせ、ひとつになるという意味の歌詞を用いた音楽を使用している。
②アップサイクルの服
アップサイクルとは、「本来であれば捨てられるはずの廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること」を言います。
1つとしては価値が薄れてしまったものを、うまくくっつけたり集めたりすることでアップグレードした新しい価値を見出すというチームの軸を表している。
(新しいダンスジャンルの開拓や各ジャンルのダンサーが集まってチームとして新しい価値を見出すという意味が込められている)
細かいところに技術が詰まっている!!
①音の取り方がメロディーに合わせている人と裏音(ビート)に合わせて踊っている(YouTube 1:37)のは、音がもったいないとならないように全部の音を拾って踊ることで技術の高さと構成の良さを出している。
②一緒にやってきたチームの存在とダンスバトルでトップの2人がいるというPR(YouTube 1:57)(YouTube 2:26)
③前の人が後ろの人に被らないように正面ではなく斜めに動く(YouTube 2:37)
④緩急を使い変化を加える(YouTube 3:15)
自己紹介のところから見ると約3分ほどのダンスにここまでのストーリーと技術・想いが込められているのです。
ここまで知れると何度もダンスを見返してしまいますし面白いですよね!
自分はこう感じるな。
ここはこういう意味だと解釈できるけど他の人はどう思うんだろう。
とダンスについて語り合うとよりダンスを楽しめると思います。
Dリーグへの今後の期待
素人目線と経験者目線とでDリーグについてお話しましたが、一部の感想・意見です。
あなたがDリーグを観てどう感じたのかをもっとシェアできたら面白そうですね。
改めてDリーグへの今後の期待するところをまとめると…
『裏側の可視化』
練習のシーンや個人にスポットライトを当てたドキュメンタリー映像などダンサーやチームの色をもっとわかるようになればファンの増加が期待できる。『ダンスの可視化』
ダンスの魅力をより深く知るために、ダンスの文化を知ることが大事。また、どういうポイントがすごいのか、面白いのかを個人的な意見でいいので具体的に審査員方が述べてくれると新しい発見をすることができそう。『ゲーム性のバージョンアップ』
今後トーナメント時とかに違う戦い方が現れそうですが、もっと色んな勝負の仕方があると変化があって楽しく見る人が増えそう。例えば、1対1のダンスバトルや同じ曲で踊ってみたり、アーティストとのコラボなど
ダンス自体魅力的なスポーツですし、Dリーグを盛り上げようと動いている人もすごい人達ばかりなので今後どんどん影響力を増していくでしょう。
Dリーグをみる人達やダンスに興味を持つ人達がどんどん増えて欲しいと思っています。
これを機にDリーグを観戦してみてください!
DリーグHP:https://home.dleague.co.jp
『SEPTENI RAPTURES』ROUND.1:https://youtu.be/NXgsMj6Nrd8
※解説しているSEPTENI RAPTURES動画URLです。
各解説の横に(YouTube ◯:◯◯)と記してありますので、実際に映像見て新たな視点を手に入れてください!!